睡眠はおよそ多くの人が、人生の3/1を費やす大事な生命現象です。
睡眠が不足すると、免疫力の低下や健康への影響も大きくなり、適切に管理することが必要です。
ここでは、「グッスリ眠れない」「寝つきが悪い」「夜中に目が覚めてしまう」「朝スッキリ起きれない」等、睡眠の質を上げたい、改善したい人に向けて、睡眠の質をグンと向上させる為の基礎的知識をお話していきます。

三大環境要因をコントロールする
睡眠における環境要因は、光・音・温湿度と言われています。
これら3つは睡眠を阻害する要因として、最重要要因として考えます。
光の影響力
人は光に反応しやすく、網膜から光が入ると、脳の視交叉上核(睡眠、覚醒、体温、ホルモン分泌など色々な生理機能をコントロールする場所)が刺激されるため、睡眠にダイレクトに影響するのです。
大事なのは、就寝中だけでなく、起床後の太陽光や就寝前の光環境についても考えることです。
それは、朝しっかりと太陽光の光を浴びることで体に朝が来たことを知らせ、体内時計を整える為でもありますし、太陽が沈んでからは余計な光を浴びないで、体に夜が来たことをしっかり伝え、睡眠ホルモンを促す為でもあるからです。
夜のパソコンやスマホ操作は睡眠ホルモンメラトニンに影響があるので制限しましょう。
又、寝室の照明を考える事は賢明で、就寝前は白い蛍光灯の光をさけ、暖色系のオレンジ色の明かりの中で過ごすこと、就寝中はなるべく真っ暗に近い状態で寝ること、寝起きには徐々に明るくなる明かりを利用することで睡眠の質が改善されます。
光対策として遮光カーテンや、調光の効く照明器具の設置を考慮しましょう。
要チェックポイント
又、電気をつけたまま寝てしまって、夜中に起きてしまったなんて経験は誰でもありますよね。光はそれだけ阻害力が強い要因ですのでしっかり対策していく事が必要です。
音の影響力
寝室の環境音も簡単に睡眠を阻害する重大な要因です。
深い睡眠時には音にも鈍感になっているのですが、浅い睡眠の時は、ちょっとした物音でも反応する状態になっています。
不快な環境音で予期せぬ目覚めを誘発されないよう対策が必要です。
外からの音の対策と家の中からの音の対策2つ行うことが大事です。
外からの音には防音シートや防音壁などで、家の中の音は、主に同居人の生活音が考えられますから、朝や寝る時間帯の生活について話し合うことも大事な事です。
外と家の中の音を同時にシャットアウトしてしまう方法として、直接耳を塞いでしまう「耳栓」という方法があります。
慣れが必要ですが、最も手っ取り早く効果を発揮してくれるアイテムの一つです。
又、寝室やベッドを共にするパートナーのいびきや歯ぎしりが不快な音になるケースもあります。
その場合は相手の健康のためにも適切な医療機関の受診を勧めましょう。マウスピースの簡単な対策で済むこともあります。

温度・湿度の影響力
日本では春と秋は、温度や湿度の事を考えることなく快適に睡眠が取れる環境になりますが、夏と冬は状況が違います。
昨今の温暖化により夏はより厳しい睡眠環境になりつつあります。
まず大事なのは、寝室の温度・湿度が確認できるよう温湿度系を設置すること。そして、どのくらいの温度・湿度なら快眠が妨げられないのか知ることです。
夏と冬はその快適な温度湿度をコントロールすべくエアコンを調節・設定します。湿度も大事ですので、除湿機や加湿器も上手に利用しましょう。

自分に最適な寝具の選定
次に考えなければいけない事とは、自分の体にあった適切な寝具選びです。
敷布団やマットレス、掛け布団や枕、パジャマなどがそれにあたります。
何年も使い古しているものでは、しっかりとした機能は見込めません。
傷んでいる布団や、古着のようなパジャマ、ヘタっているマットレスでは睡眠をサポートしてくれませんので、速やかに買い換える事が望ましことです。
ボロボロの寝具から新しいものに変えると、それだけでビックリするくらい寝心地が変わります。
マットレスは柔らかすぎず、硬すぎず、耐圧分散がしっかりできていて、心地いいと感じるものを使います。
枕は高さは重要。高さがしっくりくるもので、寝起きに首や肩に負担のかからないモノを選びます。
パジャマは夏用・冬用と春秋用があるのが理想です。寝るときには汗をかくため吸水性のいいものを選びましょう。
掛け布団はなるべく軽いものを選び、寝床内を快適な温度(32~34℃位)・湿度(45~55%)に保ってくれるよう、季節によって使い分けます。

衛生的な寝室を心がける
埃やダニによって、アレルギー反応を引き起こし、良好な睡眠が阻害されるケースもあります。
春先には花粉も猛威をふるい、鼻ずまりやくしゃみなどで寝れないという人が続発します。
寝室は掃除機をこまめにかけ、空気環境を良くすることが大切です。寝具にもアレルゲンは付着しますので、こまめに洗い、汚れや汗と一緒に洗い落とすことが必要です。
また湿気の多いジメジメした寝室ではカビなどの増殖、寝具の痛み、臭いなどにも影響してきます。

アルコール、タバコ、カフェインの適切な管理
アルコールやタバコ、カフェインを含む飲食物は、睡眠にはマイナスの影響を及ぼすものと心得ましょう。
寝る前の寝酒は、適量を摂取することで、一時的な寝付きを良くする力がありますが、習慣化すると体内でアルコール体制ができ、量だけが増え、効果は薄れていきます。
又、寝付きは良くなってもトータルの睡眠で見ると、夜中の途中覚醒を誘発させ、睡眠の質を下げる要因になりますので、毎日の晩酌は辞め、適度にたしなむ程度に止めましょう。
カフェインも目覚めを誘発させる物質だということは誰もが知るところですが、その影響力を真剣に対処している人は多くないようです。
寝る前に飲むことはもちろんですが、昼食頃に飲むコーヒーでさえ、量によってはカフェインは体内に残っているのです。摂取する時間と量を考えながら付き合う必要があります。
タバコも覚醒効果をもたらす嗜好品の一つです。
寝る前2時間前には吸うのを控える方がいいでしょう。
入浴効果
しっかり湯船に浸かることは、一日の疲れをとってくれると共にリラックス効果をもたらしてくれます。
この効果は睡眠には好影響で、忙しい毎日でもなるべく湯船に浸かる事で、睡眠の質をあげ、翌日に疲労を持ち越さないメリットをもたらします。
入浴による20分の睡眠時間損失と、入浴によるメリットを考えたとき、優先すべきは入浴効果による睡眠の質向上の方です。
又、汗やかゆみは、余計な寝返りを引き起こしやすいので、シャワーを浴びずに就寝することは、睡眠の質低下にもつながります。

まとめ
人間は古来、日の出とともに活動し、日没とともに休息をするという生活をずっと続けてきました。
この地球の普遍的なリズムに適応すべく、人間の遺伝子にも組み込まれているリズムです。
それは体内時計という言葉で表されます。体内時計を乱すことなく、規則正しい生活を送ることが、睡眠の質を良好に保つコツでもあります。
24時間動く人やサービスの影響で、現代人の生活は夜型に移行しがちです。夜の就寝までの過ごし方が肝心になってきます。